レコードを手放す際に、買取業者に売るという選択肢をお考えの方も多いかと思います。
長年大切に保管してきたレコードだからこそ、売る際に気になるのはやはりその買取価格、レコードの価値ではないでしょうか。
思いもよらぬ商品が高額で売れ、とても驚かれる方も少なくありません。そこで今回は、プロの鑑定士がレコードを査定する際にどのような点に注目しているのかを解説します。
また、レコードを査定に出す前に簡単に汚れを取り除きたいという方も多いのではないでしょうか。この汚れを取るという一手間は重要ですが、一歩間違うと品物の商品価値を損ねてしまうので注意が必要です。
本記事ではレコードの劣化の種類についても解説しているので、ぜひお役立てください。
レコードの価値を左右する要素とは?
レコードの価値を大きく左右する要素は、収録されている音源の内容だけではありません。
レコードの鑑定士は音源だけでなく、さまざまな要素を加味してレコードの買取価格を決定します。
ここではプロが鑑定の際にチェックしている、レコードの価値を左右するポイントについて、具体例を交えながら詳しく解説します。
ジャケットの状態
ジャケットの傷や汚れはレコードの価値を大きく左右する要素のひとつです。
特に日本は湿気が多い国のため、保存環境によりジャケットにカビが発生していることが多くあります。そしてやはり、カビの発生しているジャケットは評価が下がってしまいます。
他によくあるジャケットの劣化としては裂け・割れ・シミ・汚れ・キズなどがあります。中古品である以上目立たない傷が少しついている程度であれば大きく価値が下がることはありませんが、やはり劣化がどの程度目立つかで買取価格は変動します。ていきます。
下の写真はカビが発生してしまったジャケットの実例です。
逆に評価が上がるジャケットの特徴としては、シュリンクといって元々付いているビニールが残っている場合などがあります。
表面が覆われており保存状態が良いことの証明にもなるので、お手持ちのレコードにシュリンクがついていれば比較的よい値段で買い取ってもらえる可能性は高いです。
盤の状態
盤が汚れていたり、変形して反り返ってしまっていたりする場合も、レコードの価値が下がってしまいます。
盤面にもカビがついていることがあり、一見きれいに見えてもカビがありノイズの原因になることもあります。他には見た目が白くなるスレやキズ・汚れなどが多いと評価は下がります。
ご家庭で保管する際にビニールに入れてジャケット内にしまうことが多いですが、そのビニールと盤がはりついてカビが発生していることが多いです。
例えば下の写真はカビが付着してしまったレコードを写したものです。
また、稀にレコード盤が白く曇ってる場合があります。
これは通常「焼け」といわれているもので、陽に長く当たり、変色したりレコードを保護するカバーの影響で白くなったりと盤に大きなダメージが残ってしまった状態のことを指します。
焼けた状態になってしまうと修復は不可能で、再生しようとしても音が綺麗にでなくなってしまいます。
音源として利用できない以上、よほど希少価値が高いものでない限り買取不可になってしまう可能性も高いので、売る前に一度ご自宅で再生してみましょう。
また、レコードが変形し反ってしまう事例もあります。レコードの素材は非常に繊細なため、重たいものが上に乗ったり高温の場所に長時間置いていたりと負荷がかかると、形が歪みやすいです。
査定に出す前に、汚れと歪みの有無をきちんと確認しておくことをおすすめします。
付属品等の有無
レコードの中には付属品が付いているものがあり、コレクターの中には付属品の有無を重視する人が多いため、付属品の有無は買取価格に大きく影響する場合があります。
例えば下の写真はカンパニースリーブといわれるもので、レコードをいれる袋が通常のヴィニールではなく、リリース会社のレーベルロゴが入った紙の袋となります。
付属品には上記のスリーブ以外にも色々存在しますので付属していると絶対に査定が上がるものを紹介させていただきます。
帯(査定では最重要ポイント)
国内盤に限り、帯が残っている事はレコードの価値を左右する重要な要素です。
帯がきれいな状態で残っていると買取価格に大きくアップします。反対に、帯に割れやシミ・汚れがあると評価は下がりますが、帯なしのものと比べると高く評価されるケースは多々あります。
特に60年代頃の古い時代のレコードでは帯が残っているものが珍しく、高額になるケースが多いようです。
さらに、帯裏に補充注文票や補充カードといったものが付いていると、さらに高額になります。
付属品特典
各アルバムに元々付属している特典で価値が高いものとしては、ポスター、冊子、ステッカーなどがあります。
日本盤にはよく「来日記念」や「○○周年記念」など様々な記念として発売されていた時期のレコードがあります。
例えばビートルズの来日記念に発売された日本独自の編集盤や、20周年記念で出なおした限定帯付の各タイトルなど、人気の高い限定版はかなりの高額になる場合があります。
そして下の写真上部に「限定盤」と書かれているように、希少性の高い限定盤の目印として帯のデザインや表記が重要な意味を持つケースが多いです。
初回のみに特典が付いていた初回限定盤
通常の特典とは別に、例えば初回2,000枚のみポスターが付属している等、枚数限定で特典が付いているレコードは人気があるため高額になります。
お伝えした通り初回限定盤と明記された帯や、限定特典としてセットになっていたポスターやポストカードといったグッズもすべて揃った状態の場合、その価値は非常に高いです。
流通した数
レコードの状態や付属品の有無以外のポイントとして、レコード自体の希少価値も重要です。
流通量が少なくあまり世に出回っていないレコードは非常に貴重であるため、中古レコード市場でもかなり重要視されているポイントといえます。
ここでは流通した数が少なく希少価値の高いレコードの特徴を解説します。
発売時はセールスがあまりよくなく世の中に出回っていないもの
現在は人気の高いアーティストの自主制作レコードやまた人気がそこまで高くなかった時代のレコードは流通量が少なく希少価値も高いです。
上記のようなレコードは販売枚数がかなり少なく、また初期の音源ということで晩年とは異なる演奏や歌唱が収録されています。
ファンからの需要が高く高額で売れることも多いため、買取価格も必然的に高くなる傾向があるといえるでしょう。
回収されたレコード
当時何らかの理由でレコード会社が自主回収したレコードなどは、市場にあまり出回っていないため希少性が高く高額買取につながります。
回収理由の例としてはアーティストに無許可で発売されたものや、歌詞に不適切なものが含まれているものが多くあります。
いずれにしても流通量が極端に少なく、また再販されたりCDなど別の音源に変換されたりしていない場合が多い価値の高いレコードといえます。
CD化されていないレコード
CDなど他の形態で出回っておらず、そのレコードでしか聞くことのできない音源も非常に希少価値が高いといえます。
CD化されていない楽曲が多いジャンルとしては、ジャズやクラシックの演奏家の作品が顕著です。
同じ楽曲を別の音楽家が演奏したCDはあっても、レコード全盛期に活躍した音楽家の演奏を収録した音源はCD化されていないケースは多くあり、ファンの間で需要は高いです。
また、80年代の歌謡曲もCD化されていないものが多々あり、現在も活躍する人気歌手の楽曲であってもレコードにしか収録されていないケースがあるので、非常に高い価値を持っています。
サンプル盤
レコード会社関係者や店頭視聴用などの為に制作されたレコード(通称サンプル盤)も、希少価値が高くなります。
サンプル盤はレコードのセンターラベルが白くなっていることが多く「白盤」と呼ばれることもあります。また輸入盤の場合、プロモ盤といわれ、日本盤よりも相場が高い傾向です。
下の写真は日本盤の見本盤です。通常のラベルと違い全て真っ白なデザインが特徴的で、中央左部に「見本」と書いてあります。
実際の買取の具体例
希少価値が高く買取価格も高額になるレコードの特徴についてご紹介してきました。
ここではこれらの特徴を踏まえて、実際にどのようなレコードがどのくらいの査定金額になるのか具体例を交えてご紹介します。
ビートルズ BEATLES / アビーロードABBEY ROAD
東芝EMI 品番AP-8815 通称 FOREVER帯(帯裏に補充注文票が付いているとさらに買取額UP)
ジャケット盤面ともに綺麗で買取額は約500円前後
シュガーベイブ SUGAR BABE / SONGS
ELEC RECORDS NAL-0001 初回帯付
ジャケット盤面ともに綺麗で買取額は約6,000円前後
日本コロムビア LQ-7021-E セカンド・プレス盤
ジャケット盤面ともに綺麗で買取額は約1,000円前後
同じレコードでも帯が違うだけで、こんなに変わるとは。もし、お持ちでしたら見比べてください。それだけで5000円くらい買取査定が、変わります。
ジャケットや盤面がいたんでいる場合はどうする?
いざ査定に出そうと思ったものの、手持ちのレコードが傷んでしまっていたという方も珍しくありません。
ここではタイプ別にレコードの劣化を和らげる対処法をご紹介します。
ジャケットが汚れている場合の対処法
ジャケットが汚れている場合は、その汚れの種類がカビかそれ以外かで対処法が変わります。
埃などの普通の汚れは少し水を含んだ雑巾やハギレで拭けば落とす、もしくは目立たなくできる可能性が高いです。
ジャケットの状態は買取査定に大きく響きますので、時間のある方は軽く拭いてから査定に出すことをおすすめします。
逆にカビが生えてしまった場合は、基本的に拭いてもなかなか消えません。無理に落とそうとすると余計汚れてしまうため注意が必要です。
カビの場合、処理方法を間違えると胞子が舞ってしまい健康や衛生上よくないので、ジャケットの汚れを処理する際には他の汚れと比較しながら対処するなどご注意ください。
盤面が傷んでいる場合の対処法
盤面の劣化としては、ジャケット同様にカビや埃で汚れているケースの他に、白く焼けてしまったものや歪んで反ってしまったものがあります。
簡単に取れるホコリなら落としておくと査定金額アップにつながりますが、カビの場合はジャケットと同じく無理に落とそうとすると余計に汚れたり胞子が舞ったりしてしまうのでご注意ください。
変形していたりカビがついていたりする場合は、無理に綺麗にしようとせずそのまま買取業者に持ち込むことをおすすめします。
付属品が傷んでいる場合の対処法
帯やポスターなどレコードとセットになっている付属品が傷んでいた場合も、ジャケットや盤面と同様に簡単に落ちる汚れのみ落としてから査定に出しましょう。
誇りやちりを払っておく程度で問題ありません。
カビが生えている部分や破れてしまっている部分についても、対処の仕方を間違えると余計に価値を落としてしまうためそのまま買取業者に持ち込みましょう。
対処に迷ったら一度レコード買取業者に持ち込んでみるのがおすすめ
実際にプロの目で査定してもらわないことには、そのレコードの真の価値はわかりません。
ひとまず査定に出して、やはり手放し難くなったらその旨を伝えれば問題ないので、迷っている方は思い切って一度買取業者に持ち込んでみましょう。
自分では思いもよらない品物が高い価値を持っている可能性もあるので、まずはプロに相談してみるのがおすすめです。
レコード専門買取業者の選び方・チェックポイント
レコードを売る際に、どの業者を選べば良いのかお悩みの方も多いのではないでしょうか。ここでは安心して買取を依頼できる業者を探すための4つのチェックポイントをご紹介します。
①得意なジャンルをチェックする
中古品の買取には、その品物の価値を正しく判断できる専門知識や査定経験が不可欠です。だからこそ、買取業者を選ぶ際にはその業者が得意としているジャンルをチェックしておくことが重要です。
特にレコードは専門知識が重要なジャンルのひとつなので、レコードや音楽用品を得意としている買取業者を選ぶことが重要です。
業者の中にはクラシックやジャズ、洋楽など音楽ジャンルごとに得意分野が分かれているケースもあるので、事前にお手持ちの品物と見比べて最適な業者を選びましょう。
実店舗を構えているかチェックする
インターネットで申し込みから査定後のやり取りまでを済ませることのできるサービスは増えていますが、やはり実店舗も持っている業者の方が安心感があります。
実際に店頭でもお客様とコミュニケーションをとってこれまで多くの品物を買い取ってきた実績がある業者の方が、鑑定力に安心感があるだけでなく査定前後の流れについても信頼しやすいです。
買取価格を公表しているかチェックする
実際に商品名や持ち込まれた画像の写真と共に買取金額を公表している業者も信頼できる傾向にあります。
事前にどの程度の劣化でどの程度の金額がつくのかを知っておくことで、品物を査定に出す前に買取金額の見積もりが可能です。
万が一査定金額に不明瞭な点があった場合も、公表されている買取価格に基づいて相談できるので安心感があるといえるでしょう。
宅配買取や出張買取の有無をチェックする
宅配買取や出張買取など、都合に合わせて買取方法を選べる業者も満足度が高いです。
実店舗が自宅から離れていたりまとまった時間が取りにくかったりする方にとっては、好きな時間に梱包し発送するだけで査定を頼める宅配買取がおすすめです。
また、梱包や発送をするのが難しい、査定を依頼したい品物が多い方には出張買取が便利でしょう。
都合や品物の種類に合わせて買取方法を選ぶことができると、買取が非常にスムーズに進むので満足度も高くなるといえます。
おすすめのレコード専門買取業者
最後に、今回ご紹介したチェックポイントも踏まえておすすめのレコード専門買取業者を3社ご紹介します。
セタガヤレコードセンター
セタガヤレコードセンターは、買取実績30年のレコード買取専門店です。
さまざまなジャンルに精通したスタッフによる納得の査定と、海外の幅広い販売チャネルによって実現されている高い買取価格が特徴で、海外に姉妹店も展開しています。
宅配買取や出張買取にも対応しており、宅配買取の場合は専用の段ボールを含む梱包キットを無料で利用することができます。
また、出張買取も日本全国無料で対応しているので、大量のレコードや重たいアンプなどのオーディオ機器等を査定してもらいたい方にもおすすめです。
ディスクユニオン
ディスクユニオンは首都圏を中心に高い買取実績を誇るレコード専門の買取業社です。
大手の買取業者ということもあって信頼感が高く、店舗ごとに違ったジャンルを得意としている点が特徴です。
特化しているジャンルについて深い専門知識を持ったプロに査定してもらえるので、お手持ちのレコードのジャンルと見比べて持ち込み先を選んでみてもよいでしょう。
HMV record shop
HMV record shopCDやDVD、書籍などの販売で知られているHMVグループのレコード専門店です。
大手企業ならではの安心感も人気の理由で、レコードにあまり詳しくないという方にとっても身近な店舗として利用されています。
期間限定で高額買取をおこなうキャンペーンを定期的に実施しており、そのタイミングに持ち込むことで通常よりも買取金額が大幅アップする可能性も高いです。
【まとめ】
レコードを売る前にぜひチェックしていただきたい評価を左右するポイントとしては、 ジャケットや盤の状態、帯や付属品が揃っているか、サンプル盤やCD化されていない流通量の少ないレコードかどうかなどがあります。
多少の劣化があっても希少価値の高いレコードの場合は比較的高値で買い取ってもらえる可能性が高いので、まずは一度査定に出してみることをおすすめします。
店頭への持ち込み以外にも、出張買取や訪問買取に対応している買取業社は多いので、ご自身の都合に合わせてぴったりの方法を選んでみてはいかがでしょうか。